脊椎脊髄・末梢神経センター
当院では開設以来、脳から連なる脊椎脊髄・末梢神経の診断治療を行ってまいりました。この度、脳神経外科・整形外科・脳神経内科と連携し治療を行う脊椎脊髄・末梢神経センターを開設することとなりました。
頚椎、胸椎、腰椎、四肢の末梢神経から生じる、手足のしびれ、痛み、脱力はもとより、頚部痛、背部痛、腰痛、歩行困難などさまざまな症状が対象となります。問診及び、レントゲン撮影、CT、MRIなどにて検査を行い診断、治療を致します。
脳神経外科と脊椎外科
腰痛や下肢痛(神経痛)で脳神経外科を受診されるのを、不思議に思われる患者さんもいらっしゃいます。日本では脳神経外科は主に、脳(頭蓋内)の病気を主に治療しているイメージがありますが、英語では脳神経外科はニューロサージャン・Neuro(神経)surgeon(外科医)と訳されます。これは脳から連なる頸胸髄・末梢神経全てに関わる外科医を指します。欧米では脳神経外科の扱う手術の7割が脊椎脊髄・末梢神経であるとされています。
脊椎脊髄は脳から連なる重要な神経が存在することは勿論のこと、体を支える筋・骨格としての大事な役割もありますし、周囲には大事な血管も存在します。また、脳神経内科的な病気により同じような症状を呈することもあります。
その為、神経・骨・筋肉・血管・脳神経内科疾患全ての知識を要求される特殊な場所でもあります。当院は日本初めての脳神経外科専門病院であり、日本でも有数の脳神経外科、脳神経内科を擁する病院で、整形外科医、神経放射線科医も常勤しております。
我々神経を専門とする脳神経外科医、骨・筋肉を専門とする整形外科医、血管を専門とする血管内治療医、脊髄・末梢神経を専門にする脳神経内科医、神経画像診断に長けた神経放射線科医が密に連携をとり治療を行っております。
対象疾患
対象となる疾患は多岐にわたりますが、具体的には以下のような疾患が対象となります。
- 椎間板ヘルニア
- 変形性脊椎症
- 脊柱管狭窄症
- 脊椎靱帯骨化症(後縦靱帯骨化症、前縦靱帯骨化症、黄色靱帯骨化症)
- 不安定性脊椎症(頚椎、腰椎)
- 脊椎すべり症(頚椎、腰椎)
- 腰椎分離症
- 脊髄空洞症
- アーノルド・キアリ奇形
- 脊髄腫瘍(脊髄髄内腫瘍、硬膜内髄外腫瘍、硬膜外腫瘍)
- 脊椎腫瘍(原発性、転移性)
- 末梢神経絞扼性疾患(手根管症候群、肘部管症候群、足根管症候群)
- 仙腸関節症(仙腸関節炎)
- 椎間関節症
- 椎間板性腰痛
- 梨状筋症候群
- 上殿部神経症候群
疾患の病気について詳しくは以下のページをご覧ください。
脊髄脊椎・末梢神経の病気の可能性がある症状
症状 | 疾患名 |
---|---|
手・腕の痺れ | 椎間板ヘルニア 変形性脊椎症 脊柱管狭窄症 脊椎靱帯骨化症 脊髄空洞症 アーノルド・キアリ奇形 脊髄腫瘍 脊椎腫瘍 末梢神経絞扼性疾患 |
手足が動かない(麻痺) | 椎間板ヘルニア 変形性脊椎症 脊柱管狭窄症 脊椎靱帯骨化症 脊髄空洞症 アーノルド・キアリ奇形 脊髄腫瘍 脊椎腫瘍 |
細かい動作が出来ない(巧緻運動障害) | 椎間板ヘルニア 変形性脊椎症 脊柱管狭窄症 脊椎靱帯骨化症 脊髄空洞症 アーノルド・キアリ奇形 脊髄腫瘍 脊椎腫瘍 末梢神経絞扼性疾患 |
頭痛、頚部痛 | 椎間板ヘルニア 不安定性脊椎症 脊椎すべり症 アーノルド・キアリ奇形 脊髄腫瘍 脊椎腫瘍 |
腰痛 | 椎間板ヘルニア 不安定性脊椎症 脊椎すべり症 腰椎分離症 脊椎腫瘍 仙腸関節症 椎間関節症 椎間板性腰痛 上殿部神経症候群 |
下肢の痛み(坐骨神経痛)、しびれ | 椎間板ヘルニア 変形性脊椎症 脊柱管狭窄症 脊椎靱帯骨化症 腰椎分離症 末梢神経絞扼性疾患 梨状筋症候群 |
長時間歩くと足が痛くなり歩けない (間欠性跛行) | 椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 腰椎分離症 |
手術(外科治療)
必要に応じて外科治療にも対応しています。脊椎に対する外科治療は大きく分けて3種類あります。脊髄、神経を圧迫している椎間板、骨などを削って圧迫を減じる減圧術、変形、不安定性などにて脊柱としての支持構造が損なわれている場合に行われる固定術、病巣そのものを切除する摘出術です。それぞれの病変に応じて手術方法を選択、組み合わせて最良の外科治療を提供致します。加えて、脊髄、神経に損傷を加えないように、顕微鏡、内視鏡などを使用して、手術操作には細心の注意を払っております。小切開、低侵襲の外科治療にも以前から積極的に取り組んでおり、手術後の疼痛、運動障害などが最小限で済むように心がけております。
当院の特徴
当院での脊椎脊髄手術は原則、手術用顕微鏡を用い、高拡大で肉眼では見ることが困難な血管などを十分に処置し安全な視野で行っています。
また、手術を行う際に正確な位置を把握することのでき、手術の安全性を向上するナビゲーションシステムをはじめ、いち早く神経の異常を感知できる神経モニタリング、皮膚切開を最小にして固定術を行うことのできる経皮的な固定術、必要に応じて内視鏡的な手術等も取り入れています。
更なる情報をご希望の方は以下のホームページもご参照ください。
2017年7月10日更新
センター長
脳神経外科 主任医長
大竹 安史